光村図書出版「美術III」
自分にとっての「アート」って、結局のところだいたい80年代〜90年代初頭のアメリカの現代美術が基準になってる。作家だといちばん影響を受けているのはジェニー・ホルツァーです。
なぜって、自分がいちばん最初にすごいなって思った「アート」が彼女の作品だったからってだけの話なんですけど。最初に見たものを親だと思う鳥の摺り込みのように、おそらく一生、ホルツァーの作品が自分にとっての「アート」の基準だということは変わらない気がする。(ちょっと前にICCに行ったとき、床に埋まっているホルツァーのマルチプル作品のLEDが劣化していたのでどうにかしてほしい。)
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で、まあそんなことを考えながら仕事してたんですけど、そこらへんに落ちていた美術の教科書をふとみてみたら表紙がジェニー・ホルツァーでした!これは光村図書出版「美術III」という、高校3年生用の美術の教科書です。なんつーか、日本の美術の教科書の表紙がグッゲンハイム美術館で展示したときのホルツァーの作品って…スゴい。
せっかくなんでちょっと内容をお見せしますね。平成17年度のものなので、ちょっと昔です。

『美術館で作品と出会う』というページ。東京都国立博物館が紹介されている。前のページでは国立西洋美術館が紹介されています。西洋美術のほうがページとしては先にきてるんですよね…。

『温故知新』というページ。『創造的行為の無数の連鎖が美術の歴史』ということで、左ページでは紀元前に制作されたラオコーン像・ルネサンス後期のミケランジェロ・近代のロダンの彫刻を並べている。右ページではピカソのアヴィニョンの娘とアフリカの仮面を並べている。さらに北斎とジェフウォールとか、辟邪絵と村上隆といった現代美術作家も並べている。

『生活を総合的にデザインする』というページは「ロシアアヴァンギャルド」「デ・ステイル」「バウハウス」などの近代デザインについてさらっと触れられている。写真はないけど、そのほかのページでは写真やアニメーション、本の装丁、建築にも幅広く触れられています。ちなみにダブルネガティヴスも写真付きで掲載されていてビビる。


まとめとして草間彌生、安藤忠雄、ひびのこずえ、岩井俊雄のインタビュー。高校生向けに喋っていることもあって、作家たちが幼少期や青年期のエピソードを話している。なかなか興味深い内容。

巻末は唐突にモエレ沼公園の写真。しかも地図付き。

著作者はこんな感じ。野田弘志、勝井三雄、酒井忠康、澄川喜一…関与している作家はシブい重鎮たちです。
澄川喜一さんは安藤忠雄とともにスカイツリーのデザインに関わっていますね。おそらく実質的に編集していると思われる人たちはその人たちの下に記名されている学芸員や美術史家でしょうか。
この教科書は新旧・古今東西の作家/作品をたくさん集めてテーマごとにソートしたという編集ですね。美術手帖やブルータスの「現代美術入門」を読んでいる印象。
でもこれ、ある程度知っている人がみたら面白いけど、知らない人がみたら本当によくわからないと思う。じっさい高校生にこれ配ってどうするんだっていう…。説明する人がいれば、美術入門としては悪くないとは思うけど。
あ、あともう一冊違う出版社の美術の教科書もあるんで、そっちも後ほどアップします。