2010 年 7 月

訃報

中里斉さんが亡くなられたようです…。
(cumoさん、コメントで早急に知らせていただいたことを感謝いたします…。)

先日知ったばかりの自分が言うのもなんですが、とても悲しいです。
町田市版画美術館でみた作品は力強くて死の匂いはなかったし、多摩美で町田育ちってところにも親近感がありました。

Twitterなどをみていると、有名になることやだれかと戦うことが芸術の目的なのかと迷うときもあります。
しかし先の展示を見て、作品をつくる、芸術とはどういうことか、あらためて考え直しました。


絵が本当に良くて、影響されて、図録を買って、その夜は中里さんの色使いを真似るためちょっとだけ筆を持ちました。
自分ができるのは中里さんの残した作品を見ることだけなので、会期中にもう一度足を運びたいと思います。

Google×カルダー


川村記念美術館の記事でカルダーについてちらっと書きましたが、7月22日のGoogleは、カルダーがモチーフでした。
カルダーの誕生日だそうです。
もはやどこがgoogleなのかわかりませんね。

川村記念美術館「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて 」



川村記念美術館で「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」を観てきた。(7月19日まで)

川村記念美術館には有名な作家の作品はたくさんあるけれど、「川村記念美術館といえば?」と問われるとなんとなくジョゼフ・コーネルの名前が思い浮かぶ。

いつもどおり常設展を見てから企画展ブースへ。常設展はアレクサンダー・カルダー専用の展示スペースが出来てました。部屋が空色に塗られていて奇麗だった。

常設展は毎度マークロスコ、バーネットニューマン、フランクステラのコンボで荘厳な雰囲気になりつつ、最後のエンツォ・クッキの作品で癒される、みたいな流れ。コレクションがしっかりしてる美術館の常設展は飽きない。


「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて 」は、コーネルの作品はもとより、見せ方が際立ってました。

空間が、もう本当にコーネルの作品のためだけに作られていた。
作品が小さい分、いつもの企画展よりもかなり小規模な広さなんだけど、こだわってるなあ、と。

暗い部屋の中はガラスでコの字型に仕切られていて、そのコの字型のスペースにコーネルの作品と高橋睦郎の詩が飾られている。作品はスポットライトを浴びて、暗闇に静かに浮かび上がるようなイメージです。

仕切りガラスには紙でできたゆるいカタチの☆が点々と貼付けられてロマンチック。さらに会場にモーツァルトの 「ピアノ・ソナタ ハ長調(K.545)」 が小さい音量で流されていて、これは足を踏み入れた途端泣きそうになりました。

展示空間についてはこのブログの写真が参考になると思います。

愛のある展示で、久しぶりにしっかりしたものを見たという満足感はあります。コレクションの作品をあそこまでうまく見せられるとは…。まあ、もうちょっとボリュームがあってもいいのかなとは思いましたが。



惜しむらくはカタログが完売だったこと。
サンプルをみたらカタログというよりは詩集で、資料的価値というよりはモノとして欲しくなるような感じでしたね。紙の質感とか。

ちなみに新宿からだと川村美術館のある佐倉駅までは1時間半弱。でもさらに無料送迎バスで20分かかる。
そしてそのバスは平日は1時間に1本なので、乗り継ぎ悪いと佐倉駅からさらに1時間〜1時間半くらいはかかる可能性がある。私は神奈川県在住なので家から美術館まで片道3時間かかりました。滞在時間は1時間ちょっとでした…。
(馬頭広重美術館に行ったときは片道5時間で滞在40分というのをやったことがある。)

ICC 「OPEN SPACE 2010」



初台のICCで「OPEN SPACE 2010」を観てきた。
「OPEN SPACE」というのはいわばICCで年間を通じて無料で公開されているスペース。年度ごとに作品が入れ替わります。

いろいろ興味深い作品はあったけれど、とりあえず今回の目的はクワクボリョウタの「10番目の感傷(点・線・面)」という作品を観るためです。Twitterで「良い!」という感想がちらほら流れてきて、気になっていたので。

ちなみにクワクボリョウタと偉そうに呼び捨てにしているけど、自分にとってはクワクボ先生です。いえ、クワクボ大先生です。大学では講師の先生でした。ちょうど6年前、大学2年生のときのオープンキャンパスのとき、電光掲示板のプログラミングでは本当にお世話になりました。

普段は生徒に対して親身に接してくれていたとても温厚で優しいクワクボ先生だけど、契約してるサーバーがダウンしてメールが届かないというとき、クレームの電話をしているクワクボ先生の怒号とブチ切れ具合は忘れられません。あれをみて以降、自分のことはなるべく自分でやらないとな、と反省した次第であります。

そして翌年の冬の講評会においてはポストペットなどを制作されている八谷和彦さんに「クワクボ先生に習っているのにこんな作品しかできないんですか?」とメタメタにされ、その世界でのクワクボ先生のスゴさを認識すると同時に「プログラムは中途半端にやっちゃいけないんや!」という自戒を込めて、二度とプログラム的なことには手を出さないと決めた苦い過去があります。

…って何の話だっけ?



展示されている「10番目の感傷(点・線・面)」なんですけど、噂通り良い作品でした。
暗い部屋の中で、レールの上をゆっくり走る模型の電車が様々なものを照らしていく。ザル、セロハンテープ、洗濯バサミ、鉛筆…。するとそれが壁に影絵として映し出されるんだけど、それがまるで本当の車窓からの景色のように….

まぁ、なんとも言葉で説明しがたい作品ですね。百聞は一見に如かず、ということで是非じっさいに観てもらいたい作品です。
無料だし、オペラシティギャラリーのついでに寄ってもいいし。

パッと見はアナログなんだけど、列車が逆走したりスピードが変わったり、やっぱりテクノロジーを使っているなあと。
LEDの位置が最初は左で途中から正面に変わると思うんだけど、あれはどうやってんだろ。あれも電子制御してるのだろうか。
とはいえクワクボ先生のこの作品は日常に潜む驚きみたいなものが表現されていて、いわゆるメディアアート臭はあまりしない。

大学の中だと電子技術を使った作品って「動かない」「作動しない」「調整時間が長い」がデフォルトの印象があるんだけど、いっさい不安定な動作を見せないところがプロだった。


そのあと新宿で「宇宙ショーへようこそ」を観て帰宅しました。



※作品のタイトルは「1. 落下する水、2. 照明用ガス、を与えてみた」ではなく、「10番目の感傷(点・線・面)」でした。訂正しました。ごめんなさい!

町田市国際版画美術館「中里斉 モダニズム・ニューヨーク⇔原風景・町田」

中里斉の展覧会をみるため、町田市国際版画美術館に行ってきた。



中里斉さんの名前はいままで知らなかったんですが、勤務先に張ってあった告知ポスターとチラシ(上の写真)をみて、「おっ」と思って。町田育ちで多摩美術大学のOBらしいです。でも1936年生まれだから…すごい昔ですね。現在はニューヨークを拠点に活動されているとのことです。

展示されている作品はとても良かった。
展示されている作品の多くはシルクスクリーンが使われているのかな?でも、キャンバス代わりに使われている厚手の紙の存在感や、砂の混ぜられたザラザラとした絵具の質感はとても物質的でした。この感じは絶対に印刷には出ないので是非実物を見てほしいもの。色の組み合わせも美しいです。インスタレーション的な見せ方もあったりして、額に収められた版画の展示、ではなく、ひとつの空間として楽しめました。

別に無理して行けとは言わないが、近くに住んでいるなら観ておいて損はない展示でしょう。買う予定のなかった図録(2000円)を思わず買ってしまった。幾何図形をモチーフにしたシンプルな色の組み合わせの作品が多いのでデザイン系の人も十分楽しめると思います。写真撮影可能なんで、カメラを持っていくといいかもしんない。

ところで町田市国際版画美術館。最初に貼ったリンク先みましたか?市立の美術館とはいえ、ホームページのトップがちょっと寂しい…。そして自分が訪れた土曜日の15:30ごろ、この企画展の観客、おれひとりですよ!およそひとりじゃなくて、本当にひとりだった。監視員4人。ヤバいでしょ。絶対赤字でしょ。芹が谷公園という大きい公園に併設されている美術館なので、外は親子連れでいっぱいなんですが…。

んまあ、趣のある美術館だから、意外と平日の昼間の方が主婦や定年退職者が訪れるのかもしれない。建物とか渋くていい感じですよ。町田駅から美術館に向かうまでの道もね、なんか懐かしい感じのする道なんです(←ただの主観です)。すごい急な坂があるから帰りは辛い。