2010 年 12 月

ggg「ユーフラテス展 〜研究から表現へ〜」



クリスマスの銀座に乗り込んで、ggg「ユーフラテス展」を見てきた。(会期終了)
ユーフラテスは〈慶応大学 佐藤雅彦研究室の卒業生からなるクリエイティブ・グループ〉です。

「ピタゴラスイッチ」や「2355」というテレビで放映されていた映像のアーカイブや、真心ブラザーズのプロモーションビデオ、福音館書店「かがくのとも」から出版されている絵本、ベネッセ教育研究開発センターの共同研究による「日常にひそむ数理曲線」…. などが展示されていました。
ユーフラテスの作品についてはここにアーカイブがあります。いやー、しかしさすがにyoutubeにはユーフラテスの映像ぜんぜん落ちてないっすね….!)

今夏21_21で開催されていた佐藤雅彦ディレクション「”これも自分と認めざるをえない”展」は、新しいタイプの作品が展示される一方で面白さが伝わりにくい部分もあったけれど、「ユーフラテス展」はコンパクトに、わかりやすくまとめられていた印象です。まあ、前者と後者では趣旨が違うのもありますが…。

時間をかけて体感するような作品はほとんどなく、人が多かったとはいえ、むしろ時間をかけて体感する「”これも自分と認めざるをえない”展」よりもじっくりと作品を見ることができた印象があります。というか、ついつい見てしまう作品が多くて楽しめました。

自分はあまり映像作品をきちんと最後までみるってことをしません。体力的に疲れるし、どうもじっと見るのが苦手で…。
が、今回展示されていた映像の多くはループするまで見てしまいました。

「2355」は「どーなの?どーなっちゃうの?」ってハラハラさせて最後にピタっとハマって気持ちいい。
「イデアの工場」はその動きの経過自体が心地よいです。



「イデアの工場」のキャプションボードを読みながら、人間が感じる本能的な快楽を研究しつつ、表現に落とし込んでいくってスゴいけどちょっと怖いなって思いました。本能にダイレクトに訴えかけてきたら拒否できないじゃないですか。

現に、よく姪に付き合ってNHK教育テレビを見たりするんですけど、そこでピタゴラとか色々放送されてるんですけど、やっぱりなんとなく気になってずっと見ちゃうんですよね。オチや意味なんてあんまりないんだけど、リズムと音と色の効果につられて、ずーっと見ちゃう。



あたりまえのようにgggというデザインのギャラリーで展示されているけど、グラフィックギャラリーでこういう展示は珍しいし、時代なんだなって思った。

金沢21世紀美術館「ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス」


金沢21世紀美術館に行きました。

「ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス」展。この名前の覚えられなさは「ジャネット・カーディフ & ジョージ・ビュレス・ミラー」級。先日観たばかりの展示なのに、すでに名前が思い出せないので、このブログ書き始めた2秒後にはgoogle先生に「ペーター 金沢」とか聞いてる始末です。

ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスといえば、個人的には猫がミルクを飲んでいる映像作品「子猫」の印象が強いです。

数年前に(確か森美術館で)観たとき、「なんで猫がミルクを飲んでいるだけで作品になるんだろう?」って考えさせられた記憶がある。
ミルクを飲む子猫の映像が会場内に分散されて展示されていて、映像自体にとくにオチはない。
かわいいし、展示の仕方も面白いんだけど、本当に猫がミルクを舐めているだけの映像。当時「こんなんで作品になるのは、現代美術は見せ方の方法の問題なのか?」とも思った。


今回の展示で、代表作の「事の次第」のfull.ver初めて観ました。
現在ではピタゴラスイッチなどでみることのできる表現ですが、いまみても衰えることなく新鮮です。
時間も30分以上。すごい長くてビックリした。


(上の動画はショートバージョンですが、いまならyoutubeで原題の「The Way Things Go」で検索すると分割でフルバージョンあがってます。多分アウト。)



あと、インスパイア系で英国HONDAのCM。自分が大学に入った年にちょっと話題になった。
あまりに似すぎているため一時期、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスが英国HONDAを訴訟するしないって話があったそうです。
(ってたまたま見つけたこのブログに書いてあった。)

金沢の展示では、いちばん最後に展示してあった「質問」という作品が心に染みたけど、言葉じゃどうにも説明できないので観れなかった人は残念でした!(説明放棄)


余談だけど金沢21世紀美術館の初代館長の簑豊さんは著書超・美術館革命
『大きな石ころが一つ転がっていて、そこに「作品A」とか「無題」という題が付けられていたら、取りつく島もない。作者は「解る者は解る」とか「見る者の解釈次第」とか思ったいるのかもしれないが、禅問答みたいな無愛想な態度では一般の人に敬遠されて当然だろう』
と書いており、そのような発言は同書の中で繰り返し出てきます。
(現館長は秋元雄史さんという地中美術館の元館長だった方です。)

って、そういう意味で「子猫」「グレイ・スカルプチャー」シリーズとか見た目はキャッチーだけど、そこに明確な答えがあるわけでもないし、禅問答的なところもありそうでちょっとキワドいなって思ったりしました。

下山芸術の森 発電所美術館「セシルアンドリュ展 カルチャー×カルチャー」

休みを利用して富山県に行ってきた。
目的は入善(にゅうぜん)という場所にある発電所美術館に行くため。
もともと水力発電所だった建物を、1995年にしたリニューアルした美術館。

発電所美術館は前々から気になっていた。
でも、富山で行きたい観光地もほかに見当たらないし(すいません)、二の足を踏んでいました。

さらに最寄り駅の入善は富山駅からちょっと離れているし、美術館までの公共交通手段である町中を巡回するバスが「奇数日に2本」というハードルの高さです。駅前にタクシー乗り場はあるけど、バスだと片道200円でタクシーだと片道2000円…。ひとり旅でタクシーは割高です。

歩けるには歩ける距離らしいんだけど(1時間程度)、公式ホームページにもわざわざ徒歩は「お勧めしません」って書いてある。

結論からいえば、発電所美術館を訪れるときは自家用車かレンタカーで、または複数人で訪れてタクシー割り勘がいいと思いました。
自分はバスで訪れたんですけど、バスを待ったり電車を待ったり待ち時間が多かったです。
逆に、着いたら着いたで帰りのバスの時刻に合わせて慌ただしく展示をみなきゃいけなかったりで大変でしたね…。

ただ、公共交通手段を使って良かったなって思うのは、その町の暮らしをより身近に感じられるところでしょうか。
ローカルな電車に乗って、バスに乗って、歩いて、その町の様子を見ることは何事にも代え難い経験です。旅行が終われば美術館よりもむしろそういう記憶が強く残るものだし。




で、やっとのことたどり着いた発電所美術館では「セシルアンドリュ展 カルチャー×カルチャー」という展示がやっていました。発電所美術館の行くこと自体が目的だったので、展示に関してはほとんどノーマークでした。

セシルさんは金沢在住のフランス人作家らしいです。展示は、まあ…。フランス人らしい頑張りすぎない、オシャレな作風でした。
フランスの現代美術って、ボルタンスキーとソフィカルくらいしかパッと思いつかない。どちらも80年代的な作家だけど。

あとは、以前メゾンエルメスで展示されていたアラン・セシャスとかジャン= ミッシェル・アルベロラとか思いつくけど、そんなに有名ってほどでもないですよね。フランスのアーティストの印象はみんなガツガツしてなさそうなところでしょうか。力が抜けていて、美術史がどうだととか、何億円だとか、そういう世界からは切り離されているような気がします。

会場は水力発電所を改装しただけあって天井が高かった。
当時使われていた機械とか水が流れていた大穴がそのまま残っていて、雰囲気のある場所でした。館内写真撮影禁止なのがさみしい。





発電所美術館の外観はこんな感じ。
正面の壁に隠れているグリーンの屋根の建物が美術館。左脇には階段があって、そこをのぼると展望台(右上の三角の建物)に行ける。
このとき雪(みぞれ)が降り始めて、手がかじかんで感覚なかった。





展望台の下にはこんな注意書きが…。





山はうっすらと雪化粧。北陸の雲は分厚い。
っていうか、展望台寒すぎだし風強いし、昇りつつちょっと後悔したよね…。まあ魅力的な景色だったけどさ…。





これは入り口付近にあるオブジェ。おそらくヤノベケンジの展示で使われたものですね。

13時15分すぎくらいに美術館に着いて、14時くらいには美術館を出発するバスが出るからあまりゆっくりと周囲を散策できなかったのが残念すぎる。(ちなみにそのバスを逃すと次のバスは約3時間後…。)



【参考:ヤノベケンジの発電所美術館での展示の一部】



ヤノベケンジの展示、見たかったなー。

あと 同美術館で行われていた塩田千春の展示についてはこのブログ(Art Lover Blog)が詳しいです。ていうかその他の写真もわかりやすいです。
水が使える美術館、いいな。

森美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」



森美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」を観た。
とても気合いの入った展示で、圧倒されました。

小谷元彦の名前は有名だし、ギャラリーや印刷物でちょこちょこ作品を見ていたからなんとなく知ったような気になってたけど、今回の展示を見て「全然知らなかったんだなー」って反省した。

ちょっと知っていたようになっていたのは、以前メゾンエルメスでみた展示にそこまでピンとくるものがなかったから。むしろ、ちょっと安っぽいなって思ってドヤ顔していた自分がいまとなっては恥ずかしい。今回の展示では同じ作品が展示されていましたが、ぜんぜん見え方が違いました。

初期の作品「ファントム・リム」はちょっと前に金沢21世紀美術館で見た記憶があるけれど、作品解釈の幅の広さと、作品としての美しさから本当に素晴らしい作品だと思う。オオカミの双頭ドレス「ヒューマンレッスン」は写真でみて想像していたよりもはるかに存在感があった。過去の作品のカッコつけ感は、海外の作家ぽい(良い意味です)。死を連想させるグロ美しい世界観。

新作の髑髏がグルグル回転する「ダイイング・スレイブ:ステラ」(?←タイトル曖昧です)っていう作品は、最初「なんだろう?」って思うけど、髑髏の顔が正面に回ってくる時のあの感じは….まあ、会期は長いので是非観に行くといいと思います。ほかに「ラッフル」っていう作品は彫刻だなあと再認識させられるし、「 レザーフェイス・イズ・スカルプター “ワールド・イズ・ビューティフル」(?)っていう映像作品は会場の作品なかではちょっと異質な気がして気になりました。(なんでタイトルがどれも必殺技みたいなの…。)

個人的な趣味で言うと「New Born」ってシリーズはあんまピンとこないけど、それでもここまで展示全体でやりきっていたら、もう好き嫌いで否定できないですよ。よほど覚悟がないと。しかも30代という若さであの森美術館の空間を個展として持たせることができるのが信じられないし。東京では2011年2月27日までらしいので、クリスマスや正月やバレンタインのデートに是非…。


ところで小谷元彦といえば、「アートの仕事」という本のインタビュー記事がやたら記憶に残ってる。いま読み返してみると、大学を出たあと映像の専門学校に行っていたとか(どうりで!)、初個展で初めて売れたのが「ファントムリム」でそれを買ったのが飴屋法水だったとか、家が洋裁店でヴィヴィアンウエストウッドが好きだったとか、いっけんあまり作品に関連性のなさそうな八谷和彦さんの作品についての言及とか、ものすごい興味深いことばかりでした。この本に載ってる、八谷さんと小谷元彦の対談が、すごくよいんです。あわせて是非。

高橋コレクション日比谷「【新しい】カオス* ラウンジ【自然】」



「【新しい】カオス* ラウンジ【自然】」に行ってきました。
【 】でくくるあたり、2ちゃんねるのスレっぽいタイトルですね。
2ちゃんねる…?うわーん!!(以下ご想像に以下略)

さて、【新しい】カオス* ラウンジ【自然】は、4月のカオスラウンジ、5月の破滅ラウンジときて、より一層ラウンジ性が高まってる印象です。
破滅しつつも絵が作家別に飾ってあって、4月のカオスラウンジを破滅させた印象です。
自分がいったときは会場がまだスカスカしてましたが、まだオープニング間もないので、おそらくこの先クロージングまでより一層破滅してカオスなことになっていくんだと思います。

会場の半分は絵が展示してあって、半分はドンキホーテ店内インスパイアの破滅的ブースだった。ドンキっぽいエリアは怖かった。


わかりやすく良いなって思ったのは各作家の作品でしょうか。
一部のカオスラウンジメンバーを除けばまだ無名に近い人たちばっかりで十把一絡げという部分もあると思うんだけど、気になった絵もちらほらありました。特に作家さんの名前は記録しなかったんですが、「変なドレス」さんは覚えました。作品より本人がなんかちょっと面白かったから。

絵で目立つって意味でいえばヘタリアのロシア(?)を馬鹿でかく描いた作品で、ちょっとオピーっぽいけど、でもまんまロシアだからどーなんだろうとか思いつつ…。んーでもある意味ハイパーリアリズムか…。ほかの作品展開がみてみたいと思った。

アニメ絵メンヘラ風味on canvasというような作品は正直食傷気味かも。まあ、じつは毎回同じ作家の作品を見ているのかもしれないけど
、さいきん美大の学園祭やアートイベントでもそういう絵をよく見る気がするし、最初こそ新鮮だったけどやはりそこからいかに独自性を出すかが作家性だなと…。


ネガティブなこと書いてますが、まあでも色々絵があって色々考えるので面白いです。(「この作品ゴミじゃね?いや、でもデュシャンは既製品を、マンゾー二は自分の排泄物を作品にしたのだからこれだってもしかしたらゴミであるわけがない…」など)

ヨイショとかじゃなくて、そういう意味で梅沢和木(梅ラボ)さんとかちょっと越えてる感、ある。ちょっと前まで、絵としてみたときにぶっちゃけそんなに上手ではなかったと思うんですよ。でも最近は上手いし、スタイルも確立してる。なにより作品を「読ませる」し。アニメ(風)キャラをキャンバスに乗っけましたってところで終わってないところが強いなと。個人的な意見ですが。(そもそも今回のどこまでが梅沢和木(梅ラボ)さんの絵なのかもよくわかってないでテキトーに書いてる感、ある。)


カオス* ラウンジは現在進行中なんでどうにも書きにくいですね。
良い部分も良くない部分も含めて、注目の展覧会であることは間違いないです。
あわせてICCとかもチェックしてほしいです、個人的には。

場所は高橋コレクション日比谷で、12月19日(日)までの会期中は無休だそうです!
告知フライヤーがとてもかっこいい。


あといまさら人に聞けないんだけど、なんで肉のハナマサがフューチャーされてるの?