東京都庭園美術館「20世紀のポスター〔タイポグラフィ〕展」



お久しぶりです。仕事が忙しくて更新できませんでした。
これから1ヶ月あまり、ほとんど無職のような日々なのでぼちぼち更新していきたいと思います。

受験生を送り出してしまえば、もはやあとは本人達にまかせるしかないので僕らの仕事は一段落です。
受験生が多摩美でグラフィックデザイン学科の平面構成の試験をしているころ、わたしは庭園美術館でタイポグラフィ展をみていました。

タイポグラフィ(文字を用いたデザイン)に焦点を当てたポスター展。
「あっ、みたことある」っていう有名な作品の現物も多く展示されています。
グラフィックに興味がある人は当然要チェックでしょうし、ここまでド直球にポスターを歴史とともに追った展覧会もそうそう行われない気がするので、やはり皆様も見ておいて損はないと思います。


実は自分がポスターに興味を持ったのもごく最近のことです。
大きな声で言えませんが、ほんの2年前くらい…(えっ…。)
きっかけはgggでマックスフーバーを見てからでしょうか。本で見るのとはまったく異なるスケール感とインクの発色に「ポスターって奥が深いな、面白いな」って感動しました。それまで本や雑誌でみていた印象とは全く異なる存在感が実物にあったんです。

年代物のポスターとなるとインクの色が褪せていたり、紙の色が変色していたり、それもまた魅力かもしれません。
目の前のフレームに収まったポスターが、当時はおそらくそれほど大切にされずに町中に貼られていたことを想像すると胸が熱くなります。近代絵画では個人の情念が強く出ますが、ポスターにはその当時の空気感が封じ込められている気がします。


受験生にはなるべく実物のポスターを見てほしいなって思っていて、それはやはり「実物にしかない」ものがあるからです。
ポスターは複雑なマチエールがないから図版でじゅうぶん……というわけでもない。実物の存在感を知ってほしいんですよね。作品が「そこにしっかりと存在してる感じ」を理解するのって重要ことなので。ポスターは大量に複製が生み出されますが、絵画の1回性に引けを取らない存在感があります。

で、今回発見した新たな楽しみ方は、図録と実物を照らし合わせながら鑑賞する、ですね。(図録が大きい&ケース付きの場合は難しいかもしれませんが…。)
一周目は先入観なしに普通に見て、全部見終わったら図録を買って、また入り口に戻って今度は図録と照らし合わせながら見るんです。そうすると、図録化されるときに作品からいかに失われるものがあるかハッとします。

インクの発色は実物よりも当然鈍くなり、透明感は失われ、作品によっては実物と全く違う色に印刷され、細かなディティールは潰れ、図録は本当に展示記録または参考資料でしかなく、作品を体感することとは結びつかないな、と。
それでも今回のタイポグラフィ展の図録は、展示されている作品が全部掲載されているので助かります。展示が良くても図録がバカ高かったり、発売が展覧会開始の後だったり、図録が販売されないとかもあるので。


3月27日まで。