2011 年 7 月

Francesco Tristano

先月から今月初めにかけてFrancesco Tristano(フランチェスコ・トリスターノ)の演奏を3回観に行った。



ピアノを2回(白寿ホールと津田ホール)、クラブセット(渋谷WWW)を1回。
ふだんピアノのコンサートにもクラブにも行かないんだけどね。なんとなく。

って書いてるとすごいファンみたいなんだけど、じつはトリスターノのことを知ったのは今年の5月くらいです。
Twitterで知って、気になってyoutubeで調べてみたら好きな感じだなあと。

音楽的にも好きだったし、なによりいちばん気になったのはジョンケージとバッハっていう構成で演奏すること。
ジョンケージとバッハっていう組み合わせが超カッコ良くないですか?!かと思えばデリックメイの曲をピアノで演奏したりするんですよ。

同時期に発売されていた雑誌のPenは「美術館の秘密」っていう特集だった。
そこでフランスのピナコテーク・ド・パリっていう美術館が紹介されていて、マグリットとドラクロワとインドネシアの彫像とギルランダイオ(←この人のことは全然知らない)という、制作時期の全く違う作品が並列に飾られている写真が掲載されてた。でも違和感はなくて、むしろその構成によって新しい視点や価値観も感じられて、そういう編集能力が超カッコいいなって思ったんだけど、バッハとケージっていう組み合わせもそんな感じがした。

ミスマッチ…というんじゃなくて、遠からず近すぎず「あ〜なるほど、なんかわかるかも」と思えるとこがかっこいい。
ま、音楽に詳しくないのでよくわからないんですが…。




コンサートでCDを買うと本人のサインを貰える。
僕が買ったこのCDのジャケットは本人の顔が大写しになったジャケットで、サインを貰うときにトリスターノが「Ugly,Ugly」みたいなことを言っててヒゲを描き始めたので「グラス、グラス」って言ったらメガネを描いてくれた。他の人には本人のサインとファーストネームを描いてくれてたんだけど、僕のはファーストネームなしで本人のサインとヒゲとメガネ。これはこれでレアで嬉しい。

あと仕事がちょい忙しいからまた更新がgdgdになります。すいません。

多摩美オープンキャンパス

多摩美のオープンキャンパスに行ってきた。
半分は仕事、半分はプライベート。最近のオープンキャンパスはどうなってるのかなって思って。

昔よりも盛り上がってる(盛り上げてる)印象があった。
学生も学校もちゃんと取り組んでいる感じがした。
自分が学生の頃はオープンキャンパス中はあんま他科の展示を観に行ったりしなかったから、実際のところ昔のオープンキャンパスがどんなだったかって、いまいちわかってないんだけど。

一般客として行ってみたら結構楽しかった。
若さっていいなあとか、作品も面白いなあって。6年間通った大学だけどまた行きたくなっちゃった。や〜ほんと学生、研究室スタッフ、みんな頑張ったんじゃないかな。


もし今の自分が入学し直すとしたらプロダクトデザインか情報デザイン学科のデザインコースかな。

プロダクトは相変わらずのクオリティの高さ。作品の質も超高いし、学生スタッフの働きっぷりもすごく良かった。全然知らない学生スタッフの何人かに「こんにちは!」って声をかけられてここはスタバか!と思うレベル。この学科にいけば自分を育ててくれるかも!って思う。もし自分に子供がいたり、どの学科に行けばいいのか迷ってるって受験生がいたら、多摩美のデザイン系だったらプロダクトを薦めちゃう。

情報デザイン学科のデザインコースは昔よりも作品の質も上がってるし、作品が面白い。
展示の仕方やスタッフの誘導、作品の完成度はプロダクトよりも若干劣るけど、雰囲気が良かった。

あとテキスタイルも良かった。例年を知らないけど、会場作りとかなんかちゃんとしてるなって印象。エントランスで受験相談が行われてるのもわかりやすくて良かったと思う。

オープンキャンパスに保護者同伴や家族連れの方もたくさん来場されていて時代の流れだなあと。これでビールが売ってたら最高だった。2日目の夜には後夜祭として花火とか打ち上げて爆音で音楽かけて焼きそばとか売り始めて欲しい。

そして自分の関わった人が大学生として講評受けてたりするところをみると胸(が)熱(くなりますね)。
何人も声かけてくれて嬉しかった。恥ずかしいから素っ気ない態度とったりするけどね、俺は。内心嬉しかったりするからね。




そしてgood design companyによる今回のオープンキャンパスのメインビジュアル。
正直、最初みたとき「ダサッ!」って思いました。すいません。
いろいろ意味はあるんだろうけど「TAMA ART UNIVERSITY IS GOOD!!」っていうコピーがどうしても…。

でもなにかものすごく深い意味も込められてるような気もして、これを否定したら俺デザインわかってない奴かも?!っていう恐怖感もあって。で、わりとそういう恐怖感から意味を考えたり、じっくり見たりするんだけど、そうするときちんと作ってる広告なんだなって思うんだけど。

「TAMA ART UNIVERSITY IS GOOD!!」っていう小学生レベルのわかり易い英語で、世界一周ロケってのもなんとなく意味を感じる。各国の人が「TAMA ART UNIVERSITY IS GOOD!!」って書いたボードを持ってる写真は、写真として魅力的。多摩美の本部棟の壁にそのビジュアルの大きい垂れ幕(?)が飾ってあったんだけど圧巻でした。

去年の多摩美オープンキャンパスのポスターもぶっちゃけ「どうなんこれ?」って思ったんだけど、One Showという世界3大広告コンクールでmerit賞というの受賞したらしいので、僕もまだまだ勉強が必要です。

東京国立近代美術館「パウル・クレー展 おわらないアトリエ」



東京国立近代美術館に「パウル・クレー展 おわらないアトリエ」を観に行った。

東京国立近代美術館を訪れるのは「建築はどこにあるの?」以来だから….1年以上ぶり。
「東京国立近代美術館ってどこだっけ?行ったことあったっけ?」と思いながら出かけたので、竹橋駅を降りて改札を出たとき「あー、ここか」って。

僕がチケット売り場に並んだときはまったく混んでなかった。
でもディズニーランドの人気アトラクションに並ぶときみたいに人々を蛇行させるロープが張ってあったので「きっと混むときは混むんだろーな」となんとなく思ってたんだけど、チケット買ったあとふと後ろをみたら1分ほどで一気に行列ができていた。

展示会場に入ると、もう人、人、人だらけ。
ふだんは現代美術やデザイン系の展示を平日に観に行くので、美術館はだいたい空いてるか、またはそこまで人はいないことが多い。だからこうやって人にまみれながら鑑賞するってことはあんまないのでビックリした。っていうより若干テンションが下がってしまった。会場の構成として前半は一本道なんだけど、そこはもう混んでて絵をみるような状態じゃなかったので、軽く見てサッサと通り過ぎてしまった。

一本道の順路を抜けると今回の展示のポイントでもある、広い部屋を区切った迷路のような会場構成になる。
ここも混んでたけれど一本道のとこよりかはゆとりがあったので、ちゃんと作品を見ることができた。
その独特な会場構成はどういう順番で作品をみていいのかちょっと戸惑った部分もあるけど、あっちいったりこっちいったりうろうろできて楽しかった。クレーの作品を4つの技法プロセス+αに分類してみせるっていうのは勉強になるし、いい企画だなって思いました。


クレーの絵自体は良い絵だな、好きな絵だなっていうのが結構あった。とても奇麗な絵だよ。
作品数が多いのと、全体的にちょっと小さいのとで、ドカーンした感動というよりかは「ふむふむ」って感じでした。ふむふむ。(なんだこの感想。)
クレーの作品、見てるようであんまり見たことがないかも。

図録は多少高くても是非欲しいなって思ってたんだけど、サンプルをみたら…う〜ん。もうちょい簡潔にまとめられてるか、または全作品が見やすい状態で淡々と掲載されてれば良かったんだけど…。個人的にはちょっと期待はずれな内容。これで2500円なら画集買った方がいいかなあ…。
企画が興味深かったので、手元に図録が残せないのはこちらとしてもとても残念。

7月31日までです。


あと東京国立近代美術館の常設展、シブくて好きです。
そして常設展会場の床も好き。クレーっぽい。


模写課題

高校生に「モンドリアン」「マレーヴィッチ」「カンディンスキー」の作風模写をしなさいっていう課題を出してみた。

モンドリアンはまだしも、マレーヴィッチとかは高校2年生にはちょっと難しい作家かもと思ったけど、若い人たちは知識の吸収力もいいし、あえてやらせてみても面白いかなって。

課題の目的や意図としては、このさきヴィジュアルデザインやグラフィックデザインを学んでいくうえで、過去の作品に興味を持って欲しいってことですね。およそ100年前のグラフィックデザインの黎明期(かどうかは捉え方次第ですが、西洋美術史からグラフィックデザイン史に枝分かれする時代)にあたる作品を真似ることで、構成のエッセンスを掴んで欲しいというか。






仕上がってきたものはそれぞれ案外悪くなかったです。
むしろよく描いたなあと。

んでも、学生にとってこの課題に意味や手応えがあったかと言われると….どうなんだろ?
この先に制作する作品が、昨年度比べてどう変わるか見ていかないとなんともいえない。


モンドリアンはわかり易す過ぎたかな?
でも水平垂直・三原色+白黒のバランスを理解しておけば、実際の受験でも色々応用がききそうですけどね。なんかちょっと知ってる風でそれっぽくみえるし。ま、基本ということで。

マレーヴィッチは不人気。
「なにがいいのかわからない」とか「ドヤってる顔が目に浮かぶ」とか。
実際学生の作品をみると、マレーヴィッチの微妙なバランスとか間を理解できたかどうかは微妙。悪くないけど、じゃっかん漠然としてるかも。
未来派時代をやった人はあんまりいなかったな。
マレーヴィッチといえばシュプレマティスム、みたいな説明を最初にしちゃったからね。
グラフィックの受験でいきなりマレーヴィッチの未来派を感じさせる平面構成とか描いたらすごいインパクトありそう。

カンディンスキーは学生から人気がありましたね。
「かわいい」とか「やってみてカンディンスキーの絵に対する印象が変わった」とか「描いてて楽しかった」って。カンディンスキーの模写は意味があるっぽい気がしました。


もし来年度もやるとしたらこの3人じゃなくて、ロシアアヴァンギャルド風に現代の広告を描くとか、スイススタイルを意識してポスターを描いてみるとか、そういうのもありかもなって思った次第であります。

美大受験なう5

前回は東京工芸大学のことを書きました。
補足としてもうひとつ自分が個人的に注目している大学のことを書いておきます。
それは横浜美術大学です。

2010年度にこれまでの横浜美術短期大学から、新たに横浜美術大学として四年制大学として開校した大学です。
横浜美術短期大学のときは短期大学だったので、あまり受験生からは注目されていなかった印象です。
もし短大なら、女子の場合は女子美術短期大学があります。立地条件を考えないのであれば、女子美のほうが四年制への編入も可能ですしメリットがあるような気がしていました。男子の場合は、もしデザイン系ならば桑沢デザイン研究所に進学するのがより良い選択であった気がします。なので横浜美術大学が短大だったときは、正直、選択するメリットや必然性が薄かった気がします。

それが四年制の美術大学になったことで、受験者からすこしずつ注目され始めています。
学生や保護者の方からも「横浜美術大学ってどうですか?」という相談が若干増えています。

なにせ「美術系学部のある大学」ではなく、れっきとした関東にある「四年制の美術大学」です。
率直に言って「横浜美術大学」というネーミングがうまくハマってると思います。
すごくわかりやすいですし、イメージが良いですよね。「横浜」という地名からうける印象がすごくいい。
実際の最寄り駅は青葉台なので横浜から40分かかるらしく「横…浜…?」という立地なのですが。

あとは、東京造形大学や女子美術大学に比べて新しい感じがしますよね。手垢がついていない。
自分が入学した多摩美術大学の情報デザイン学科というところもそうだったのですが、ブランドイメージもなにもないところに新しいものを感じてあえて入学してくる人のなかには面白い人たちが必ずいます。まだ実績がないというところに、むしろこれからを期待させます。


個人的に注目している理由としては、まず教授陣が頑張っていることが伝わってくるからです。
大学側が予備校に足を運び、広報活動や美大受験に関しての情報収集をきちんとされている印象です。
教授たちがより良い学校にするために頑張っている大学は伸びると思います。

それと特待生制度として1年時授業料全額(5名)または半額免除(10名)という制度があること。
このご時世、まるまる1年分の授業料(おそらく110万円)が免除になるのは学生にとっては注目すべきことではないでしょうか。
2年目以降も奨学生制度として4分の1〜全額免除の制度があるようです。
金銭的に苦しいけれど美大に進学したいという場合、実技が優秀かつ多摩美や武蔵美にこだわらないのであれば、この制度を利用するのもありかもしれません。ちなみに年間の学費は多摩美と比べると20万円ほど安いようです。

それでいて、現段階では非常に入学しやすい。
多摩美や武蔵美でさえ合格しやすくなっている昨今ですから、ある程度予備校などで実技を練習した学生はほぼ確実に合格する印象を個人的には持っています。入学しやすいということは、誰でも入学できる可能性があるゆえ、当然学生の意識の差にムラがあるということでもあるのですが、自分が見ている限りでは、推薦制度でなかなか資質のある学生が入学しています。

その学生たちは浪人は避けたいだとか、学費のことだとか、勉強の学科試験に対する不安などで横浜美術大学を受験したのですが、実技に関しては多摩美や武蔵美も合格圏内だったと思いますね。そういう現状をみていると、この先横浜美術大学はどうなるのかなあと気になります。

2012年度の資料をみると、全学部合計190名の定員中、115名は推薦またはAO枠です。推薦は指定校推薦、公募推薦、自己推薦の3種類。AOは8月と10月の2回。一般試験は前期と後期の2回。受験のチャンスが多いですね。



前回と今回、東京工芸大学や横浜美術大学のことを書きましたが、予備校講師的にはあくまで多摩美や武蔵美を薦めます。
なんだかんだで、日本は大学名によるヒエラルキーは現状存在します。
努力する人や才能がある人は学校なんてどこでもいいんです。どこいったって才覚を表しますから。そこそこの努力でそこそこ就職したりそこそこ生きていきたいって人にこそ、大学は重要なのだと思います。

いま多摩美や武蔵美も入学しやすくなってますからね。
昔のイメージで「多摩美や武蔵美は難しい」と思っている保護者のかたや受験生は多く、ネガティブな理由(多摩美や武蔵美なんか合格できるわけがない!)という理由で最初から志望校のレベルを下げるパターンも多いんです。それはとても勿体ないです。