金沢21世紀美術館(後)「art-ZINE」「ピーターマクドナルド 訪問者」



金沢21世紀美術館のデザインギャラリーでart-ZINEの展示がやってた。ZINEってこいうものなんですよ、っていう広報的な展示かな。いろんな種類のZINEがおいてあった。アーティストから小学生のものまで。

僕自身もパラペラparaperaの存在なんかを話には身近には聞きながら、こういったZINEの展示や販売会などにはいったことがなかった。

ZINEが並んだ様子はカッコいいし、手にとってみてみるとホチキスでとめてあるだけなのにオシャレな存在感。自分でも作りたいなって思ったし、あとは高校の学生に課題で作ってもらっても面白そう。オシャレだから内容なんてなくてもいいと思うな。むしろそんな味わって読まないしね。

フライヤーが大きさ・素材の違う3枚の紙の端をミシンで縫った手作り仕様でかっこ良かった。おもわず4枚もらってきてしまった。


ギャラリー内は写真撮影不可だったからギャラリーの外から撮影してみた。





さらにもひとつ「Peter McDonald 訪問者」っていう展示がやってた。
ピーターマクドナルドの画集は何年か前に買った。仕事用以外では画集ってあんまり買わないけど、ピーターマクドナルドの絵はなんか好きだったから。

今回はふたつの会場を使っていて、ひとつはキャンバス?紙?に描かれたものを壁面に飾っていて、もうひとつの部屋では四面の壁に描かれた壁画。どっちも良かったけど、壁画のほうがダイナミック。自分も驚いたし、あとから入ってきたお客さんもみんな「すごーい」って驚いてた。


おわかりでしょうか、このスケール。こんな感じで4面。左にいる女性はまったくの無関係です。


こっちはもうひとつの部屋の展示の写真。


実物は、画集でみる以上に不思議だったね。変。謎。たぶんちょっと頭おかしい人だと思う。見ることができて良かった。


このあと金沢番外編で今回行った寿司屋について書いてたんだけど、語れば語るほど薄っぺらくなってる気がしてぜんぶ消去した。というわけで金沢篇はこれにて終了です。

金沢21世紀美術館(中)「Inner Voices」



金沢21世紀美術館ではイェッペ・ハインのほかにもいくつか展示が行われていた。
まずひとつは「Inner Voices」という1960年代以降にうまれた女性作家の作品による展示。

日本、韓国、ミャンマー、マレーシア、インド、フィリピンなどアジアの出身の作家が中心だった。女性であるということのほかに、それぞれの国の歴史的な背景なども複雑に絡み合った作品群だった。
『自分の生まれた国の社会的風習や歴史のなかでいかに女性たちがアイデンティティを確立しようとしているか』みたいな?

…っていうような内容だったってことを、いまこの記事書くために目録読んで知った。
女性作家だけの展示ってのも気がつかなかった。
そういわれると会場はなんだかオリエンタルな雰囲気で、個々の作品はテーマ性が強く、見るのに疲れたなぁという印象だった。

ひとつの社会的なテーマをコンセプトにして数名の作家を集める展示って、森美術館とか東京都現代美術館でよくやってる印象がある。そういう展示は作品数多くてみるの疲れるし、結局のところ印象に残るのは個々の作品が良かったかどうかってことで、キュレーターの考えたそのテーマ自体を考えることになったのかっていわれるとちょっと微妙だったりすることが少なくない。
いや、ま、そういった展示を否定してるわけではないんですけども。なんとなく違和感があったりする。まだ言葉にできるほどきちんと考えてません。


この展示ではやっぱ塩田千春さんの作品が目を引いた。超ミーハーなセレクトだけど。

塩田千春といえば空間に糸を張り巡らせる作品が有名。
今回も遠くからみたら展示室の天井から床まで赤い糸がビローンってなってたからそれ系の大規模な作品かなあと思った。でも近くで見たら糸だと思ってたものはじつはチューブで、そのチューブは赤い液体で満たされてた。そのチューブはポンプによって空気が送り込まれ、まるで血管のなかを血液が循環しているみたいだった。下に敷かれた白い布でできた巨大なドレスとの色のコントラストがきれい(凡庸な感想です)。

ここに愛知トリエンナーレで展示されたときの写真がちょこっと掲載されてます。


それにしてもメインビジュアルに使われている作品が9月10日からの展示ってどういうことなの……。



さらにZine(同人誌のような少数・非営利な冊子)の展示もやってたんだけど、朝食をとりつつ録画しておいた輪るピングドラムをみたいのでそれは次回に持ち越し。

金沢21世紀美術館(前)「イェッペ・ハイン 360゜」

去年のいまごろはパリにいた。
今年も行きたかったがそんな毎年海外に行く(金銭的な)余裕はない。
でもせっかくの休みにどこにも行かないのも勿体ないので、とりあえず金沢に行ってきた。

ここ最近は金沢には飛行機で行くことが多かったけれど、今回は時間的にも金銭的にもやっぱ長距離バスがいちばん都合がいいかなって思って数年ぶりに夜行バスで往復してみた。まあ、体力的にはちょっとキツかったネ…。


金沢21世紀美術館ではイェッペ・ハインというデンマークの人の個展が開催されていた。(会期終了)


イェッペ・ハイン《光のパビリオン》2009


イェッペ・ハインの作品をネットで調べているときにこの↑写真を見て、自分のなかでフェリックス・ゴンザレス=トレスのこの↓作品と重なっていて、勝手にイェッペ・ハインのことをコンセプチュアルアート系の人なのかなあって思ってた。


フェリックス・ゴンザレス=トレス《ベネチアビエンナーレでの展示風景》2007



実際の作品はトレスの作品とはかなり印象は違ってた。
《光のパビリオン》っていう作品は、実際にはこの電球より数メートル離れた壁の後ろに自転車が設置されていて、そのペダルを漕ぐとギヤとチェーンが回転してこの電球でできたパビリオンがゆっくり開閉するっていう作品。自転車を漕いでる人は電球が開閉してるところがみれない。でも電球同士の、空洞のガラスがぶつかり合う音だけはかすかに壁の向こうから聞こえてきたりする。


他の作品は例えば多面体のミラーがゆっくりと回転して展示室の空間が歪んだように感じられる《回転するピラミッドII》という作品や、展示室のパーテーションがほんとうにゆっくりと左右に移動している《見えない動く壁》という作品があった。それらはコンセプチュアルアートいうより、キネティックアートいう印象だった。ざっくりいえばメディアアートの範疇の作品だと思った。


頭に特殊なヘッドセットをつけて歩く《見えない迷宮》という作品は佐藤雅彦っぽい感じもした。
一見何も置かれていない広い展示室のなかはじつは赤外線信号によって迷路が構築されていて、外れたルートを歩くとヘッドセットがブブブッて震える。目には見えない壁が存在してるってわけ。


ミラーの使い方なんかはオラファー的で、体験型というところは佐藤雅彦的で、もはや展示物を消し去ってホワイトキューブの空間そのものを作品にするところはマーティンクリード的で、色んな作家や作品のことを思い出した。空間、時間、認知、そういう現代的なアートの要素をかなり自然に取り込んでいた作品群だった。

こういう贅沢な空間の使い方ができるのは金沢21世紀美術館ならでは。SANAAの建築とも相性が良かった。


コレクション展とかその他のことも書こうとしたけど、いまコンタクト乾いてヤバいので次回に持ち越します。