2011 年 10 月

PHILIPPE WEISBECKER



フィリップワイズベッカーの絵を観てきた。
先々週末は乃木坂のギャラリー・アートアンリミテッド。先週末は学芸大学のギャラリークラスカで。
(どちらも会期終了)


グラフィックデザイン系の人たちがTwitter上で話題にしてたので「ワイズベッカーってどんなんだろ?」と思って検索してみたら、幾度か雑誌などでみたことのある絵だった。

ちょこっとネットで調べてみると「イラストレーター」と紹介されていた。
作風を観る限り「アーティストか画家かな」と思っていた。
「イラストレーター」と名乗ることと「画家」と名乗ることにどこまで差があるのかどうかわからないけれど、あの絵はイラストとして描かれているんだと思うとちょっと意外な気がした。



ワイズベッカーの絵はとても可愛くてオシャレだった。写真で見ると黒地に白い線で描いているように見えたのが、近づいて見ると紙白を残すように黒で塗りつぶしてあったのが印象的だった。
でも、あのパースのゆがみ、線のいびつさ、汚した画面、鉛筆の線の跡、すべて意図的にやっているのかと考えると狡猾的に思えてくる。


昔は東京芸大デザイン科の色彩構成において、表現的な絵も評価される時代だった。
現在は着実な描写力が評価されるけれど、10年ほど前は油絵のようにモデリングペーストでゴテゴテに盛った、いわゆる「アジ」のある絵が流行っていた。石膏デッサンにしても、現在では合格しないような黒くて勢いのある絵もある程度評価される傾向にあったと思う。

自分はそういう時代に受験生だったので「作品が完成したあと画面の余白をキレイに消すよりも、少し汚したままのほうが良いこともある」と講師に言われたり、「絵の具を全面に塗って乾かしたあと濡れたタオルで拭き取って下地をつくる」「モデリングペーストをヤスリでかける」など、あえて画面を汚すことを教えられていた(別にそれだけが主流というわけでもなく、普通に描写中心の絵もありました)。

ワイズベッカーの絵は好きだし、知名度の割には比較的買いやすい価格(10万弱〜20万円)なのでちょっと欲しいなとも思ってしまうんだけど、あの「完成度の高いユルさ」に作家の計算を感じすぎてしまってちょっと息が詰まる部分もあるなと思った。作家の顔が見えそうで、むしろまったく見えない。秋山孝なんかもそうだけど。



ちなみにギャラリー・アートアンリミテッドはメトロの出口の目の前なのに10分以上彷徨いました。
あと学芸大学のクラスカに初めて行ったんだけど、すごく良かったです。ショップやラウンジが広々としていて、そこまで人が多くないのでリラックスできた。メインは古いホテルをリノベーションしたデザイナーズホテル。そこまで高価というわけでもないので一度泊まってみたいです。