2012 年 7 月

ggg、G8「ADC展」など



1週間以上前だけど、銀座でADC展みた。
まあいつもながらのADC展といった感じで、日本のクリエイティブの現在の潮流を捉えつつ、相変わらず内輪ノリの強い業界だなという感想。


今年のグランプリは本田技研工業「負けるもんか」とのこと。


良くできているとは思うけど、個人的には臭すぎる。コピーが。
なんだか既視感があって、感動させようとする気が満々で引いてしまう。あざとい。


同じく車メーカーだと、北野武と木村拓哉が出演したTOYOTAのReBORNはADC会員賞。

このCMを手がけた佐々木宏といえば泣く子も黙るクリエイティブディレクター。
ソフトバンクのCM(懐かしのブラピ&キャメロンディアスから犬のお父さんシリーズまで!)や缶コーヒーBOSSのトミーリージョーンズグリコの25年後の磯野家まで、この人の名前は知らなくとも日本人の誰もが必ず目にしたことがある広告を作ってる。

が、これも個人的にはなんだかなあという感じ。
まず「え、あの人がこんな役を?!」というキャスティングの意外性に驚きがあるのだろうが、同種の広告が増えてきたせいであまりにも方法論的にみえてしまう。またか、という感じ。

ソフトバンクまでは許せるけれど、木村拓哉と北野武、ふたりのKTはあまりに強引なキャスティングに思える。キムタクの演技はわざとらしいし、CMに出てるときの北野武は一歩引いているようで白々しいし。





ADCと同じ日に「銀クリ」というキャンペーンに参加するついでに訪れた資生堂ギャラリーの「仲條正義展 忘れちゃってEASY思い出してCRAZY」が面白かった。79才とは思えないパワフルでユニークな作品。



銀クリに参加して貰えるバッジ、この展覧会に展示されてた作品の絵柄だったらもっと良かったな。





ところでADC展にこの大島美術学院のロゴを作ってくれたCPYがADをつとめた作品があった。(このロゴはまだ学生だったときに作ってくれたもの)

ぼくが予備校で講師を始めたとき、彼女はまだ高校生だった(当時はあまり絡みはなかったが)。その後彼女は講師として同僚になった。彼女は大学に入るまで1浪しているけどとても早熟で、予備校生時代に制作した膨大な資料のストックにクリフォード・スティルとか入ってるような人だった。18才のデザイン系の予備校生がどうやったら抽象表現主義のクリフォード・スティルを知るんだろう?とにかくアートとデザインに関しての知識がずば抜けていた。

彼女がいつだったか、講師をしているときに「自分は別に絵が描きたいわけではなくてデザインがしたかった」というようなことを言っていたことが印象に残っている。その後彼女は某広告賞で受賞したり某大手広告代理店に就職していくわけだが、高校生から大学生、卒業後にADとして活躍していくその過程は、偶然ではなくやはり必然に思える。


もうちょっと色々書いたけど、読み返したらCPYのことが好きな人みたいになってて気持ち悪かったから消した。でも、尊敬してます。

東京都写真美術館「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」

東京都写真美術館で川内倫子展を見た。

時間ができたら観に行くか…と思っていたところ、高校で教えている生徒(その生徒は卒業制作のため写真作品を制作している)が観に行って何か色々と考えたらしいので、自分も早めにチェックしておいたほうがいいなと思った次第。


会場に足を踏み入れた瞬間、センチメンタルな気分。
展示のポスターのメインビジュアルにも使われている子供が階段を昇っている写真が入り口の横に展示されていて、それだけでもうエモくて泣きそうになってしまった。

会場を入ってすぐ、一直線の通路のわきに規則正しく掛けられた写真はさながら走馬灯のよう。そのイメージを自分が直接みたことあるわけではないけれど、まるで自分がかつて経験した記憶がフラッシュバックしているようにも感じてしまう。

通路の先の部屋にあった、2つの画面にそれぞれ違う映像が流されている映像作品ではおもわず感情が込み上げてきてしまった。映像自体も一枚の写真のように美しいのだが、なにか、人生そのもの、人生の一瞬の明滅をみているようだった。





この文脈のないイメージの連続がひとつの世界を構築する感じ、インスタグラムに似てるなって思った。写真も正方形だったりするし。と、思いつつ本人のブログを覗いてみたらTumblrを使ってた。

DESIGN HUB「日本のグラフィックデザイン2012」



デザインハブで「日本のグラフィックデザイン2012」を観た。(7月29日まで、会期中無休)

「受験生向けになんかいいデザイン系の展示やってないかなー」と思って調べたらやってた。観に行くことを薦めるまえに、まずは自分でみなければと思い久々にデザインハブに足を運んだ。

デザインハブはミッドタウンの中にあって、オフィスビルのエントランスっぽいところを通っていく感じなので行くたびに緊張する。エレベーターでバリバリ働いてそうなビジネスマンたちに囲まれ「本当にこんなところにあるのか?」って不安になるという。

でもデザインハブは入場無料なのがやさしい。
自分はいっつもデザインの展示に文句ばっかり言ってるけど、デザインハブなりgggなり、デザイン系の展示は無料ってところが多いのは良い部分だなと思う。高校生だと交通費だけでも結構イタいし、それに入場料やお茶代まで払うとなると、高校の授業のあとのマックのバイトの時給だったら3時間ぶんだよ!みたいな。


会場にはかつてどっかで見たことあるなという同年代の人(たぶん大学でみたことある人だと思うんだけど、当時とは違い格好や髪型がシュッとしておりきっと業界内で活躍してるに違いない)や、美大受験生(格好の洗練されてなさ、グループで訪れていること、構図や感想を分析し真面目にメモを取っている姿勢などからそれが大学生ではないということがわかる)がチラホラ。デザイン系の展示だと来場者のファッションチェック、そして付随する業種(と年収)を妄想してします。


展示は2012年度のデザイン年鑑のなかから抜粋された約300点が並んでいるとのことで、お得感がありました。いまのグラフィックデザインのトレンドが見えてきますね。

逆にいえば作品全体が似ているのも確かで、個性を大切にする人や、いまのシンプルで「間」を大切にしたようなデザインが好きじゃない人にとっては、もしかしたらつまらないかもしれません。

まあ、日本のグラフィックデザインは類型化された様式美を楽しめばいいんじゃないでしょうか。「この作品、○○っぽいな〜」とか「うおー、またこの作品が展示されてるのかよ!」という風に割り切ってみると楽しめます。

多摩美のグラフィックデザイン学科なんかを目指してる人は、好きとか嫌いとかの問題ではなく、やはりみるべきでしょうね。こういうのが好きならグラフィックデザイン学科に行くべきだし、共感できないなら特に目指す必要はないのかもしれないのかな、なんて。

21_21「テマヒマ展」



21_21 DESIGN SIGHTで「テマヒマ展〈東北の食と住〉」を観てきた。(8月26日まで)

なんとなく惹かれるところがあってもなかなか足を運ぶ気にならないのが21_21。ナベタンの「21_21で面白い展示なんていままでありましたっけ?」という発言からすでに幾数年、あいかわらず21_21には煮え切らない感じが漂っている。(というか「テマヒマ展」のまえに開催されていた「アーヴィング・ペンと三宅一生展」が長過ぎた。いろいろ事情があったのだろうと思われるが…)

というわけで「テマヒマ展」に興味あるけど、また微妙な表情で会場をあとにするのだろうという予感がして、あまり積極的に行こうという気分にならなかったんだけどミッドタウンの「日本のグラフィックデザイン2012」ついでに観てきた次第。




これはなかなか良い展示だったと思う。
ポスターのビジュアル的に、東北でつくられたものをずらーっと並べた展示なのだろうと思ったら、やっぱりそうだった。

でも、想像通りにも関わらず、それでもとても印象強く残ったのは、それらの「もの」が制作される環境とプロセスをしっかりと見せてくれたから。とりわけ展示冒頭の30分ほどの映像が美しく感動的だった。「もの」が作り出されるプロセスを、映像と環境音、ほんの少しのBGMのみでシンプルに見せてくれた。

情緒に訴えかけるような映像編集の力は大きいが、それでも職人の手さばきや手のシワに現れる長年の痕跡に嘘はない。淡々と作業する人々が映るその映像を見ながら、ふと「仕事とは」「生きるとは」などということを考えてしまう。


といったように、自分には面白い展示であったのだが、こういう内容が若い人にとってはどのように映るのか知りたくて、やたら観に行くよう学生に勧めてる。もっとも展示会場の空間デザインも美しく、ビジュアル的にも勉強になることは確かなのだが。